スティーブン・ジョンソン
メディア理論家
アメリカの科学技術雑誌『ポピュラーサイエンス』の記者
オリジナル:http://youtu.be/NugRZGDbPFU
[翻訳文]
この5年の間、私は「良いアイデアは何処からやって来るのか?」という疑問について調査してきました。それは、一種の問題なのです。私たちは本質的にこのような事に興味を持っていると思います。
もっと創造的な人になりたい。
もっと良いアイデアが欲しい。
自分たちの組織がもっと革新的になって欲しい。
私はこの問題をそれを取り巻く環境から見てきました。
歴史の中で並外れた想像力と革新を引き出してきた空間とは何か?
これらのシステムの中で発見したのは、あなたに繰り返しておきる出来事のパターンこそが並外れた革新を作り出す環境にはきわめて重要だということです。
その中のあるパターンの一つ「ゆっくりな閃き」と呼んでいますが、躍進的な考えはすぐれた洞察の時にはほとんど来ないでしょう。
突然インスピレーションがひらめくのです。
最も重要なアイデアは進展するのに長い時間がかかり、そしてこれらは長い間後回しにされてしまいます。それは2,3年でアイデアになるものではありません、時には熟慮するのに10年又は20年かかります、そして突然効を奏し、あなたにとって何らかの形で有益になりだすのです。しかしこの「小さな閃き」は部分的なのです、なぜなら大抵の場合よいアイデアというのは小さな閃きがぶつかり合いそれ以上のものに成ったものだからです。このように革新の歴史では誰かが半分のアイデアを持っているという場合がたくさんあるのです。
ワールド ワイド ウェブ(WWW)の発明とティム・バーナーズ=リーについてのすばらしい話があります。これはバーナーズ=リーが10年間研究したプロジェクトです。しかし、はじめはこの発明しようとしている新しい媒体の十分な見通しをもっていませんでした。彼はあるプロジェクトを進めている傍らに彼のデータ管理の手助けをする別のプロジェクトも始めていました。彼は2年後にはそれを放り出してしまい他の事を始めました。そして約10年してやっとワールド ワイド ウェブの完全な見通しが生まれ出たのです。
これがたいていのアイデアの生じ方です。彼らは考えを生み出す時間が必要で、多くの時間をこの「部分的な閃き」という形で過ごすのです。
その他に重要な事で、アイデアをこのように考えるときは、閃きを他の閃きとぶつけ合って形をつくる必要があるのです。ある閃きを向上させる別の閃きが他の誰かの頭の中に潜んでいることがしばしばあります。そしてあなたはこれらの閃きをまとめてそれらを足した以上のなにかを作る方法を理解しなければならない。
だから例えば啓蒙の時代のコーヒーハウスまたは現代主義のパリジャンサロンなどは創造のエンジンの様でした。なぜなら彼らはアイデアが混ざったり交換され新しい形に成る場所を作ったからである。
あなたが革新の問題をこの視点から見たとき、それは最近討議されている「インターネットが私たちの脳にしていること」がもっと重要になってくる。私たちは常に繋がっている多重業務生活(マルチタスキングライフ)にうんざりしているのでは?例えばゆっくりとした深い静観的な読書から遠ざける様に考えを洗練させなくしているのではないのか?当然私は大の愛読者である。しかし、私が思うに覚えておくべき大切な事は科学的または技術的なすばらしい革新はコネクティビティや他の人との情報交換能力を劇的に高めてきているということである。そして、誰かの閃きを借りて自分たちの閃きと組み合わせて何か新しいものにしていくのです。
私が思うにこの600,700年の間このようなことが何よりも創造と革新の主要なエンジンだったのです。そうです、本当は私たちはかなり散漫という事なのでしょう。
しかし奇跡的で信じられない事がこの15年間に起こっています。それは私たちが取り組んでいるアイデアを完成させる様々な新しい繋がり方や他の人が持っている閃きを探し出す数々の新しい方法をがあるということです。または驚く様な新しい情報の欠片に思いがけなく出会い自分達のアイデアに組み込みそして改善するのに使うことが出来るのです。
これが「良いアイデアは何処からやって来るのか?」の嘘のないレッスンです。
好機は繋がった精神を好む